理央、小学校高学年のある日、同じクラスのハヤミ君（仮名）のお母さんからウチに初めて電話が来ました。なんだろう。

話の内容は、担任から電話がきて、ハヤミ君がユキナリ君（仮名）に何か嫌な事をするのが続いていて、親から連絡が入ったというもの。

本人が理央にもしていると言ったので、「ごめんね電話」をくれました。

私は何も知りませんでした。

ハヤミ君はちょっとヤンチャとは聞いていて、

ユキナリ君は、おとなしめ。なるほどー。

「嫌な事」は、ま、ちょっと、どっちかっていうと、痛い系。うーん。

さてその日、理央に聞いてみたら、それは事実で「嫌なんだよね」と。

その時の話のなりゆきで、

私が他の母達から聞いた「ハヤミ君のお父さんが厳しい人だ」という話をした時、

理央は目に涙を浮かべました。

私は最初、自分が嫌な事をされてイヤだったことを思い出して泣き出したのか？と思ったら、

理央「ハヤミが可哀相……」と一言。

私「え？どうして？」

理央「だって、お父さん、厳しい人なんでしょ？ハヤミ、かわいそう･･･」

私　「えー！そっちかー！」・・・目が点。

まあ、取り敢えず、しばらくは静観することにして、話の最後に、

私　「でも、やられっ放しはダメだよ。自分のことは自分で守らないと。なるべく距離を置くとかね。じゃあ、また何かあったら言ってね。ママに隠し事はナシだよ」

理央「うん、わかった」・・・ここで一旦、理央との話は終わり。

わたし的には、ハヤミ母がわざわざ謝罪の電話をくれた事をありがたいと思いました。

だって、「理央にもやってる」と聞いても、謝らないで知らん顔することもできるのに、

苦情を言ってないウチにまで電話をくれて、謝ってくれて、

この電話を貰う前に、一度も話したことがなかったお母さんだったし、

「ウチに電話するの、心臓バクバクして嫌だっただろうなー」と思ったし。

その後、保護者会でハヤミ母に会っても、お互いわだかまりはなく、

いや、むしろ、このトラブルを機に挨拶をするようになり、話をするようになりました。

そして、学校に電話したユキナリ君母にも感謝。

その電話がなければ、私はずっと気が付かなかったかもしれないので。

その一件以来、嫌な事をする事はなくなり、

そののち、時間を経て、理央とハヤミ君は、良き友となりました。

ベストな結末！

但し、こんな結末は偶然であり、たまたまだったのかもしれないけど、

このトラブルが発端となり友達になったというお話でした。

さてその後、多くの学校が集う水泳大会があり、ハヤミ君も選手として出ていました。

ハヤミ君がスタート台に立った時、生徒達の観覧席から、

明らかにヤジるような声が多数飛びました。

沢山の選手が出場していたのに、ヤジが飛んだのはハヤミ君一人だけ。

その時、私は思いました。

「彼にしか分からない何かが彼を苦しめていたのかもしれないな」と。

そんな中、理央とハヤミ君は、家でも遊んだりするようになり、小学校を卒業して、同じ中学校に進んでいったのでした。

そしてのちに、中学ではハヤミ君が理央の窮状を救ってくれることになります。

ついでに、私もハヤミ母と2人でランチやお茶に行く仲にもなりました。

でもやっぱり、一見おとなしい子の親は、よーく我が子を見ておかないとですね。

　　　　　　　　　　　　Thanks★

❖次回は、この話の続きで、中学時代にハヤミ君が理央を救ってくれた話を書きます。